退職をする際には、会社に迷惑をかけることがないように自分の役目をきちんと果たして上で退職をすることがとても大切です。ブライダル業界においてもそれは同じです。円満退職をして、自分自身も良い気持ちで次のステップに進みたいと思う気持ちはきっと誰もが持っていることでしょう。
今回は、ウェディングプランナーの退職を例に挙げ、円満退職するために考えなくてはならないことについてお話しします。
目次
円満退職を目指すにあたり考えるべき「会社への影響」
ウェディングプランナーの仕事を辞めるにあたり、「会社への影響」を考えるのは当然のことです。あなたが退職することで、会社にとってどのような影響があるのでしょう。そこから考えてみてください。そうすれば、円満退職を目指すために何をすればいいのかが見えてきます。これを考えずに自分中心に考えて退職をしてしまうと、会社に多大な迷惑が掛かり円満退職とは言えなくなってしまいます。
会社への影響を考えずに退職する2つの例
自分の退職が会社にどのような影響を与えるのかを考えずに退職すると、残されたメンバーに大きな負担がのしかかってしまいます。あなたがいなくなってもうまく会社が機能していけるように、残されたメンバーは自分の仕事に加えプラスアルファの時間と労力を使い、あなたの抜けた穴を埋めるのです。
ここで、実際に会社のことを考えずに退職してしまった場合の2つの例を紹介します。それぞれの例において「何がいけなかったのか」を考えてみましょう。
・ウェディングプランナーAさんの例
「ウェディングプランナー職においては新規接客をメインに担当してきました。この式場に勤めて3年が経っていました。そろそろブライダル以外の業種に転職を考え始めていたとき、たまたま知り合いの紹介で、以前から興味のあった生命保険の営業職の話を聞きました。トントン拍子に話が進み、結果的に10月の段階で1月からの入社が決まりました。
職場に報告したのはその後で、12月末日をもって退職したいと伝えたところ、会社から引き留められてしまいました。申し出から退職日まで十分な日にちがあり、会社規定でも問題ないと思っていましたが、結果的にあまり良くない形で退職をすることになってしまいました」
※ブライダル業界の方ならご存知の方もきっと多いと思いますが、新規のお客様を獲得するにあたり、年明け1月は商戦期と言われる時期です。年間を通しても1月は非常に大切な月であるブライダル業界において、新規セールス担当のスタッフがその直前に退職するのは会社にとってかなりの痛手です。
どうしてもやむを得ない事情でその時期にしか転職ができない場合は、2、3カ月前のタイミングではなく、もっと前もって会社に報告しておくのがベストでしょう。そうすれば、会社が新人を新たに雇い研修して育てるのに十分な期間を取ることができます。
Aさんのケースが円満退職に繋がらなかった理由は、商戦期直前の退職、さらには2カ月前というブライダル業界においては「直近」と言えるタイミングの申し出でしょう。
・ウェディングプランナーBさんの例
「ウェディングプランナーとして、年間50組から80組のお客様を担当してきました。勤続5年目に入る頃でした。このとき、同じブライダル業界の別会社より声がかかり、今よりも良い条件で転職してこないかと誘われました。このブライダル会社はかねてから憧れていた会社だったので、私としては願ったり叶ったり。もちろんOKしました。
会社に申し出たのは6月でした。退職の希望日としては9月末だったのですが、会社からは11月末までにずらしてくれないかと言われました。転職先には「10月から来てほしい」と言われていたため、どうしても9月末に退職したいと主張し退職しました。
転職先が同業他社だったことも手伝って、元いた職場からはあまり良い印象をもたれない退職となってしまい残念な気持ちになりました。」
※年間を通して10月11月は結婚式の人気シーズンです。施行担当のプランナー、しかも勤続年のベテランがこの直前に退職してしまうのは大きなダメージとなります。Bさんの場合は、転職先と話をする際に入社のタイミングについてあらかじめ繁忙期をずらしてもらうように交渉するべきだったと言えるでしょう。
同業他社への転職は、ブライダル業界において頻繁にあり得る話です。これ自体には問題はありません。ですが、これまでお世話になった会社にできるだけ迷惑をかけない形で辞めるように心がけていれば、Bさんが9月末を転職のタイミングに選ぶことはなかったでしょう。
円満退職を目指すにあたり考えるべき「お客様への影響」
もうひとつ、円満退職を目指すにあたり考えなければならないのがお客様への影響です。ウェディングプランナーは、新郎新婦と長い期間をかけて一緒に結婚式を作り上げていきます。そのため、3カ月後の退職であっても半年後の退職であっても、自分の担当するお客様に迷惑がかかる可能性が常にあることを忘れてはいけません。
お客様への影響を考えずに退職する2つの例
新郎新婦にとってみれば、式場と同じくらいに大切なのがウェディングプランナーの人柄です。あなたの人間性に惹かれて、その結婚式場の予約を決心した新郎新婦がいる場合も少なくないでしょう。退職する際にはお客様のこともきちんと考えなくてはなりません。ここで、お客様のことを十分に考えずに退職を決断してしまった場合の2つの例を紹介します。
・ウェディングプランナーCさんの例
「私が勤めていた式場では、新規接客で成約を獲得したプランナーがそのお客様をそのまま当日まで担当するのがルールでした。半年先1年先のお客様を次々に獲得していき、常に先々担当するお客様が最低でも毎月5組はいる状態でした。自身のキャリアチェンジのため転職を決意していましたが、具体的な時期が分からなかったため、お客様には伝えずに転職活動を続けていました。
転職が決まってから退職までには3カ月の期間がありました。この間に担当しているお客様にはご挨拶をして回りました。ですが、自分自身時間的にも余裕がなく、忙しさのあまりきちんと直接挨拶ができないお客様も多くいました。結果的に担当していたお客様の中から成約キャンセルが数件発生してしまい、会社にもお客様にも迷惑をかけてしまいました。」
※先々の担当が決まっている場合には、退職に伴い自分自身がお客様を担当できなくなる旨をきちんとお客様に伝えなければなりません。Cさんの場合は、きちんと誠意をもってお客様にご挨拶ができていなかったために、不信感をあおってしまう結果になってしまっています。成約後のキャンセルという、会社にとっても最悪の影響を与えてしまい、大切なお客様にも悲しい思いをさせてしまったこの例は、円満退社とはかけ離れていると言えるでしょう。
お客様に退職の挨拶をする際には、新しく担当するプランナーとの引き合わせをするのが一番です。仮に担当者が決まっていない場合にも、決まるまでには誰がそのお客様の相談窓口になるのかを明確にしておくなど、お客様を不安にさせないようにしましょう。
・ウェディングプランナーDさんの例
「私は平均して毎月7件から8件のお客様を担当していました。転職が決まり入社のタイミングを決める際に、うまく交渉ができず、結果的に退職を申し出たのが退職日の2カ月前となってしまいました。このときすでに担当結婚式を多く持っていた私は、引き継ぎ業務をしながら担当のお客様に挨拶をして回りました。
まだ打ち合わせが始まっていないお客様にはご理解いただけたのですが、すでに打ち合わせが始まっているお客様からは厳しいお言葉をいくつももらってしまいました。「〇〇さんだからここに決めたのに」「途中で担当プランナーが変わるなんてありえない」とお叱りを受けてしまい、お客様をガッカリさせることになってとても心苦しかったです。」
※非常に難しい例ではありますが、どうしてもお客様を悲しませてしまうことに繋がりやすいのが、担当ウェディングプランナーの退職です。ウェディングプランナーは転職する際、かなり前もってその時期が分かっている方が良いでしょう。
Dさんのように、2カ月間で退職の報告をすべてのお客様にする場合には、すでに打ち合わせが始まっているお客様の対応に細心の注意を払う必要があります。あなたがいなくなっても、「式場が責任を持って、おふたりの大切な結婚式をフルサポートする」ことが伝われば、クレームやキャンセルなどに繋がることは防ぐことができるはずです。
ウェディングプランナーが退職するときに守るべき5つのこと
具体的な例をいくつか紹介したところで、最後にブライダル業界の人気職であるウェディングプランナーを退職する際に守るべき5つのポイントをお伝えしておきます。会社にもお客様にも「良いプランナーだったね」と思われて、晴れて円満退職ができるようにしっかりとポイントをおさえましょう。
- 繁忙期・商戦期を考慮した上で退職日を決める
- 後任スタッフの育成をする期間が十分に取れているかを考える
- 担当しているお客様には退職後の担当者もしくは相談窓口を伝える
- お客様への退職の挨拶はなるべく直接対面でおこなう
- 引き継ぎ業務に追われて既存のお客様への対応がおろそかにならないようにする
以上を守って、円満退職を目指しましょう。
円満退職するために考えるべきことまとめ
ブライダル業界はお客様の結婚式に関わる仕事です。特にウェディングプランナーはお客様とお付き合いをする期間が長く、そして濃いものになるために退職の際にはトラブルに発展することも少なくありません。少しでもそのリスクを回避し、会社にもお客様にも迷惑がかかることがないようにしたいものです。
円満退社を目指すためには、自分が相手の立場だったらどう感じるかを考えることが大切です。転職先で気持ちよく新しいスタートが切れるよう、円満退社を目指しましょう。