中途の転職活動をする場合は、募集企業がどういうスキルや経験を持った人材を求めているのか、その採用基準を理解して選考に挑むことが採用への近道となります。ブライダル業界で言えば、ウエディングプランナーやブライダルマネージャ、支配人など職位によっても求められる役割も採用基準も変わってきますので、どういったポジションや役職を目指して転職するのかによって求職者が意識すべきポイントはも異なります。そこで、今回の記事ではブライダル業界の4つの職位ごとに、企業が設定している一般的な採用基準をまとめました。これから転職を目指している方にとって参考になればと思います。
目次
中途社員採用時の主な採用基準の考え方
企業が社員を採用するときは「新卒採用」と「中途採用」の2つの方法がありますが、今回の記事のテーマは中途採用についてです。中途採用は新卒採用と比べて基本的に即戦力であることが求められます。職種や募集背景にもよりますが、採用する企業は「具体的にこの仕事をしてもらおう」とイメージしてからその条件を募集要項に書き、その仕事ができる人(できそうな人)を見極めて採用する、と考えるのが一般的です。結婚式場を運営する企業が中途採用をする背景は一般的に以下のような理由があります。
- 新規出店の立ち上げやM&Aに伴う募集
- 現職の人の退職や異動に伴う募集
- 新規事業や新規部署立上げに伴う募集
ブライダル業界はITなどと違い、事業拡大をする場合はそれに伴いスタッフ確保が必要なので、新規出店するのであればプランナー、支配人、リーダー、スタイリスト、フローリスト、などなど、多くのスタッフが必要になり、そういう場合は中途社員を採用しようとすることがほとんどです。また、現職の人が退職や異動する場合は基本的にその人が担っていた業務を実行してくれる人を採用しようとします。将来的にロボットホテルのような無人に近い結婚式場ができればこのトレンドは変わるかもしれませんが、現状ではこのような背景であることがほとんどでしょう。
つまり、中途社員を採用しようとする場合は、プランナーなのかマネージャなのかの役職イメージや遂行してもらう具体的な業務があらかじめある程度決まっており、採用基準はその業務を薄移行できるかどうか、となるのです。では次に、職種によって具体的にどのような基準が設けられていることが多いのかについて解説します。
ブライダル業界の採用基準で重要なこと
新規ウエディングプランナーの一般的な採用基準
新規プランナーの仕事は、結婚式場を検討中のカップルの来館時の接客を担当し成約を取ることがミッションになります。求められる能力は営業力、コミュニケーション力、業務効率スキル(基本的なPC操作など)などがメインです。そのため、経験者の場合であれば
- 成約率の実績が〇%以上か→営業力を判断
- 月間接客数の実績が〇件以上か→業務効率と集客活動への貢献度などを判断
- これまで経験している会場タイプやウエディングスタイル→自社の会場で成約率を出せそうかどうかを判断
といった点が採用基準として用いられることが多いです。極端な話ですが、新規プランナー経験者で月間20件以上接客に出て成約率10%未満の人は採用されないでしょう。また、未経験者であれば
- 異業種での営業実績はどの程度か→営業力を判断
- 月間の営業件数や利用していたシステム、Officeの利用経験→業務効率を判断
- これまで経験している顧客属性や商材→ブライダルの営業で成果を出せそうかどうかを判断
といった点が基準となることが多いでしょう。いずれにせよ、「この人を採用したら成約を取れそうかどうか」この点が採用基準の最重要項目であることは間違いないと思ってください。
打合せウエディングプランナーの採用基準
打合せプランナーの仕事は、結婚式場に申し込みをしたカップルの具体的なプランニングをする接客を担当し、単価と顧客満足を上げることがミッションになります。求められる能力はプロジェクトマネジメント力、営業力、コミュニケーション力、業務効率スキル(基本的なPC操作など)などがメインです。そのため、経験者の場合であれば
- 打合せの担当組数の実績が〇組以上か(累計、月次)→業務効率と業務の正確性を判断
- 単価アップの実績がどれくらいか→打合せとしての営業力を判断
- 経験している打合せの方法やクレーム処理経験など→自社の会場で同じパフォーマンスを発揮できそうかを判断
といった点が採用基準として用いられることが多いです。打合せプランナーは営業力も必要ですが、それ以上に事故を起こさず安定して施行をまで繋げることが重要なので、特に経験者であればそのあたりの実績を重要視する傾向があります。一方、未経験者であれば
- 異業種での営業やカスタマーサポートなどでの実績はどの程度か→営業力・プロマネ力を判断
- 月間の営業件数や利用していたシステム、Officeの利用経験→業務効率・仕事のスピードを判断
- これまで経験している顧客属性や商材→ブライダルの営業でも同様のパフォーマンスを発揮できそうかを判断
といった点が基準となることが多いでしょう。「結婚式に関わる膨大な情報処理や業務量を正確に遂行する能力を有しているか」この点が採用基準の中での最重要項目であると言えるでしょう。
ブライダルマネージャの採用基準
ブライダルマネージャの仕事は、結婚式場の新規・打合せチームのマネジメントを担当し、成約数や売上目標を達成することがミッションになります。マネージャ自身が接客に出るかどうかは会社の方針や会場の規模によりますが、一般的に求められる能力はマネジメント力、営業力、コミュニケーション力、業務効率スキル(基本的なPC操作など)などがメインです。プランナーに必要な要件をより高いレベルで、それにプラスしてマネジメント力が必要、となります。そのため、経験者の場合であれば
- これまでマネジメントしてきたチームの規模・期間→マネジメント力を判断
- ブライダルマネージャとしての営業実績(成約数・売上)→会社が求める成果が出せるかどうかを判断
- 新規や打合せのプレーヤーとしての経験・実績→組織設計のバリエーションの幅を判断
といった点が採用基準として用いられることが多いです。ブライダルマネージャはより高いレベルで「成果」を求められるので、自身の営業力も必要ですが、それと同じくらいマネジメント力=メンバーの力をどこまで最大化できるのかという点を重要視する傾向があります。一方、ブライダル業界の未経験者であれば
- これまでマネジメントしてきたチームの規模・期間→マネジメント力を判断
- ブライダルマネージャとしての営業実績(成約数・売上)→会社が求める成果が出せるかどうかを判断
- これまで経験している顧客属性や商材→ブライダルの営業でも同様のパフォーマンスを発揮できそうかを判断
といった点が基準となることが多いでしょう。業界経験者とそんなに変わらなくなりますが、ブライダル業界はビジネスモデルが「BtoCでかつ高額商材」という点で特殊なので、例えばBtoBビジネス経験者やサブスクリプションモデルの商材を扱っていた方は、モデルの違いを理解してマネジメントを行う必要があります。
結婚式場支配人の採用基準
結婚式場支配人の仕事は、結婚式場のすべてのマネジメントを担当し、成約数と売上・利益目標を達成することに加え、満足度の高い結婚式を安定して提供し続けることがミッションになります。得ディングプランナーだけでなく、キッチンやサービス部門など会場に出入りする他部門をどこマネジメントするかは会社の方針によって異なりますが、一般的に求められる能力はマネジメント力、一般知識、コミュニケーション力、業務効率スキル(基本的なPC操作など)などがメインです。ブライダルマネージャに必要な要件をさらに高いレベルで求められる、とイメージしていただくとよいかと思います。そのため、経験者の場合であれば
- これまでマネジメントしてきた式場の規模・期間、マネジメント範囲→マネジメント力を判断
- 営業実績(成約数・売上利益)→会社が求める成果が出せるかどうかを判断
- 支配人経験時のスタイルやオペレーションルール→自社のスタイルをマッチするかを判断
といった点が採用基準として用いられることが多いです。結婚式場の支配人を経験している人はそれなりに長い期間をブライダル業界で働いているはずですから、自分なりの仕事のやり方やスタイルを持っている方が多いです。そのため、基本的なマネジメント力や営業統率力に加え、これまでのスタイルと自社のスタイルがマッチするかどうかという点を重要視する傾向があります。一方、ブライダル業界の未経験者であれば
- これまでマネジメントしてきた式場の規模・期間、マネジメント範囲→マネジメント力を判断
- 営業実績(成約数・売上利益)→会社が求める成果が出せるかどうかを判断
- 全く新しいことへの吸収力や学習力→ブライダル業界の仕事をどれくらいの期間でキャッチアップできるかを判断
といった点が基準となることが多いでしょう。業界未経験者でいきなり支配人採用されるケースは稀だと思いますが、基本的な能力としての必須要件や採用基準は経験者と同様で、それ以外に「ブライダル業界へのキャッチアップをどのレベルのスピードで実現できるか」というのも採用基準の中での最重要項目であると言えるでしょう。支配人クラスの中途採用の場合は、成果を出すまでゆっくり待っていられないのです。
ブライダル業界経験者と未経験者の採用基準の違い
新規、打合せプランナーとも異業種からの転職者の場合、営業実績の具体的な基準を設けることが難しいので、これまでの経験から期待する業務が担えるかどうかという判断をすることがほとんどです。例えば人材紹介業界からの転職で「月間30人の求職者を担当して転換率7%でした」って言われて「おおなるほど、では成約率40%はいけそうですね」ってならないですよね。そのため、異業種の営業経験を説明するときは具体的な数値実績よりも、どのようなところが成果ポイントで、それに対してどういう努力をして、どのように自身が成長してきたのか、といった過程を厚めに話したほうがいいと思います。一方、経験者の場合はこれまでの営業実績がダイレクトに採用基準にヒットしてくるので、できるだけ正確に伝えられるように準備しておきましょう。
ブライダル業界の転職活動時に意識すべきこと
ここまで役割別の採用基準をこまごまと書いてきましたが、これを踏まえてブライダル業界への転職活動時に意識しておくべき事項をまとめます。
応募する前に採用基準を知っておくことのメリット
「書類選考や面接で採用基準に合わせたプレゼンができること」です。採用基準とは、企業側が求めていることです。実際はここまで書いたようなわかりやすい内容だけではなく、社風と合うか、身だしなみや言葉遣いが求める水準に達しているか、担当者との相性はどうか、など他にもたくさんあると思いますが、それらも含めて、相手が何を求めているのかを知らずに自分をアピールするのは非常にもったいないと思います。中華料理が好きな人においしい和食作れます!ってアピールしても刺さらないですが、おいしい中華料理作れるように勉強します!って言えば刺さるじゃないですか(たぶんね)。それと同じで、この会社は何を求めているのか?を完全じゃなくても把握してそれに合わせて自分をアピールする方が伝わりやすくなるのです。
募集要項や会社のホームページは必ずチェックしよう
この記事で紹介した内容はどちらかと言えば概念的な話ですが、具体的な採用基準や求める条件は求人の募集要項や会社ホームページ(または結婚式場ホームページ)に詳しく書いてあります。求人票には「必須要件」「歓迎条件」といった項目で書かれていることが多いのでよく見ましょう。また会社ホームページには採用・Recruitなどの特設ページが設けられていることが多く、そこには会社のこだわりやビジョン、求める人物像などのコンテンツが用意されていますので、そこも要チェックです。
不採用通知を受けてもへこまない
採用基準をきちんと理解し、求人票やホームページをよく読み、それに合わせて抜群のプレゼンをしても、不採用になるときはなります。例えば、求人の募集人数が限られている場合などは、企業の求める採用基準をクリアしていても自分より能力の高い候補者がいると不採用となることもあります。そういった相対的な理由で不採用となることも多いので(中途の転職はタイミングも重要!)、最終的な採用通知を受け取るまでは、一つ一つの選考結果に一喜一憂しすぎることなく転職活動を進めていきましょう。
一人で活動するのが難しい場合は転職エージェントを活用する
ブライダル業界への転職を目指す場合、ここまで書いたような情報収集や自分のプレゼントのすり合わせをきちんと行ってから選考に挑むことが理想です。ただ、仕事をしながら情報を自分で集めるのも大変ですし、求人情報もリアルタイムに書き換わっていくのでそのすべてをキャッチアップしていくのも大変でしょう。そういった場合は、転職エージェントの利用がオススメです。この記事では詳細は書きませんが、会社ごとの採用基準や風土に照らし合わせた書類添削や面接対策などもすべで無料でやってくれますし、自分で応募する前にまずは登録だけでもしてみたほうがいいでしょう。詳しくは以下の記事をご覧ください。
https://ichimarke.net/weddingplanner-agent
まとめ
ブライダル業界の仕事は、ウエディングプランナーのように専門性の高い仕事ではあるものの、特別な資格が必要なわけではありません。その分、これができれば(この資格を持っていれば)OKという基準がなく、職種や役割によって、また企業や結婚式場によっても採用基準がバラバラです。ただし、基本的には会社がこの求人でどういう役割を担える人を募集しているのか、という点をしっかりと理解し、それぞれの求人に求められる役割を理解できれば、選考を通過する確率はグッと高くなると思います。なかなか働きながらでは大変かもしれませんが、転職活動の一助になってくれると嬉しいです。