フリーランスとして独立する人は、本当に何もないところからのスタートになります。会社員として働いていた時の同僚や先輩、取引先の方などの人脈はあるでしょうが、仕事ということになる「組織に所属していた自分」と「フリーランスの自分」は別と考えられることがほとんどです。理由は信用がないからです。では、仕事における信用とは何でしょうか?今回の記事では、フリーランスが積み上げていくべき「信用」についてまとめました。これからフリーランスになることを目指している方や立ち上げたばかりの方の参考になればと思います。
目次
仕事の信用ってそもそもどういうこと?
フリーランスの社会的信用度は低いとよく言われますが、仕事の信用とはそもそもどういうことでしょうか。ビジネスにおいては特に取引をする際に信用が重要となることが多いです。自分が信用されているか?を考える前に、自分だったらどういう人を信用できるかを考えてみるとイメージしやすいかと思います。
会社や組織に所属していた時は、何かしらの肩書がついていることがほとんどです。「〇〇株式会社の~」「〇〇部の~」など、名刺にも会社名や部署名が書いてあることがほとんどでしょう。あなたと取引をしようと検討している人は、意識的かどうかはさておき、あなた個人だけでなく所属している会社や部署も併せて検討します。
- 担当者であるあなたと仕事をしたことはないがこの会社はしっかりしているから大丈夫だろう
- あなたが期待に応えられなかったとしても別の担当者に変えればいいだろう
- 別の担当者だが以前この会社と取引したときはいい結果が出たからまた大丈夫だろう
- あなたと仕事をするのは初めてだが、他の会社が成果を上げているようだから信用してみよう
これは営業に限った話ではなく、取引を検討しているときはだいたいこんなことを考えていることが多いでしょう。あなたが信用できそうかという観点ももちろんありますが、会社としての信用や過去の実績が大きく影響しています。またこれはBtoBの法人取引に限らず、ブライダルなどのBtoC業界でも同様のことが言えます。この会社の商品だから大丈夫だろう、他の人も良く使っているようだから大丈夫だろう、こういう感覚が購買の意思決定に大きな影響を与えることは珍しくありませんし、「ブランド」にも近いですね。
フリーランスになるとそれがなくなります。あなた個人がどういう人か、どういう仕事をする人なのか、どんな成果を出せる人なのか、自分の後ろに「会社の信用」がなくなるので、こういったことを自分の力で作っていかなければいけません。元々の知り合いであれば仕事ぶりを知ってくれていますが、そうでない場合、一緒に仕事をしたら自分のことをわかってくれるはずだ、と思っても、確かにその自信は大切なのですが、一緒に仕事をする前にその信用を得ることは容易ではありません。あなたも、何者かわからない人と一緒に仕事をするのは怖いですよね。
この人なら一緒に仕事をしても大丈夫、取引しても大丈夫と思ってもらえることが信用であり、法人取引でも対お客様でも同じです。フリーランスになると信用がない状態から始まりますが、少しずつでも信用を得ていくことが重要なのです。では、信用がないと具体的にどんなデメリットがあるのでしょうか。
信用がない状態だとうまくいかないこと
相手から信用されていない状態だと、ビジネスをしていく上で様々な苦労があります。
【対法人】与信が通らない
ある程度の規模の会社と取引をしようとすると、与信の壁にぶつかります。立ち上げ直後の売上が不安定な時期は、財務状態が良くなかったり手元資金が少ないことが多く、それを取引先が見て支払い能力がないまたはリスクが高いと判断して取引をしてくれないことが起こります。取引をしてもお金を支払ってくれないんじゃないか?と先方が思うわけです。もちろんそんなつもりはなかったとしても、そう判断されてはどうしようもないので、キャッシュを持ったり売上を早く上げることが大事です。
【対法人】取引条件が厳しくなりやすい
与信が通ったとしても、支払いに対する信用がないと取引条件を厳しくされることもあります。一般的に個人で立ち上げたプロデュース会社は規模が小さいのでスケールメリットがなく、歩率を高めに設定される、取りこぼしをなくすために支払期限を早く設定される、などです。立ち上げ直後の資金繰りが厳しい期間に支払い日を早く設定されるというのはかなり精神的に追い詰められるので、こういう不利益が出てくることもあります。
【対銀行】銀行口座が作れない、お金が借りられない
まだ売上実績がない状態だと、銀行の口座開設の審査で落ちることもあります。審査基準がどのようになっているかは銀行ごとに異なるので一概には言えませんが、メガバンクとかだと結構落ちる人もいるようです。取引先から見たときに振込先が個人口座であるより法人口座または仕事用の口座の方が信用できるので、できれば専用口座は解説しておいた方がいいのですが(何のお金か把握しやすいため)、それができないとなるとキャッシュの管理も大変になります。
また、銀行からの借金も最初は難しいことが多いです。立ち上げ後はサロンを借りたり、ホームページを作ったり、何かとお金が出ていくことが多いのでいくらかでも資金を借りられるとキャッシュフローが安定するのですが、手元資金が潤沢であったり最初から売上が立っている場合を除き、返済能力がないと判断されて借りられないことも多いです。
【対不動産】事務所やサロンが借りにくい
事務所を借りるときも信用がないことを理由に貸してくれないこともあります。審査基準は不動産のオーナーごとに様々ですが、家賃の支払いが滞ることを一番嫌がるので、売上が立っていない、手元キャッシュがない、事業計画がいい加減、といった具合だと審査落ちすることもあります。
【対お客様】他のプロデュース会社と比較されたときに負けやすい
ブライダル業界はリピートがないですしブランドというよりは会場軸で選ぶ人が多いのでそこまで「プランナーの信頼」を気にする人は多くないですが、何のアピールもしなければ何の実績もないプランナーをあえて選ぶ理由がないので、他のプロデュース会社と比較検討された場合に負けることが多くなります。
例えば自分の実生活でも、聞いたことも見たこともないメーカーが出している見たことのない商品、と、見たことあるし他の商品も買ったことのあるメーカーが出している新商品、があったらなんとなく後者を選んでしまう方が多いのではないでしょうか。このような前提で買っていくために必要なことをしていかなければいけません(次のセクションで解説します)。
フリーランスが信用を上げるために必要なこととは?
ここまでまとめたように、社会的な信用がないと様々な苦労をすることになりますので、信用を得ていかなければいけないのですが、具体的にどのようなことが必要か以下にまとめます。
実績をつくる
一番は実績を作ることです。これがあればある程度のことは解決できます。どんなに風呂敷を広げた大きなことを言っても、何も実績のない人はなかなか信用してもらえません。
- これまでの自分の経験(担当した組数や具体的なプロデュース事例)
- 法人との取引実績
- メディアへの掲載や執筆の実績
- (対法人や銀行であれば)売上実績、独立後の施行実績、集客実績
立ち上げたばかりの時は何の実績もないので、それまでのことでもいいでしょう。何もないより「神社の結婚式を1,000組プロデュースしてきた経験あり」のほうが信用を得られやすいです。大きなアワードで表彰された実績など輝かしいことでなくてもいいので、どんなことをこれまでしてきたかをしっかり語れるようにしましょう。
商品・サービスを立ち上げた経緯や想い、過程を話す
実績が作られるまでの間は、想いや熱意も大切な信用要素です。「まだ何もないけどこの人となら」と思ってもらえるように、どうしてフリーランスになったのか、フリーランスになって何を成し遂げたいか、自分はどういうことができるのか、をオンライン/オフライン問わず発信していきましょう。
- ブログの読者が増える
- SNSのフォロワー数が増える
- お客様が自ら情報を発信してくれている
- 口コミが広がる
こういったことも信用に繋がっていきます。「まだ立ち上げたばかりで実績はないけど、私には10,000人のフォロワーがいます」これも信用を得るための立派な強みになります。
自分のことを大きく見せる
これは最初だけにした方がいいと思いますが、私はこんなことができます!というのを少しもって話すのもコツだと思います。日本人は謙虚が美徳とされていますが、実績がない人が謙虚すぎると本当に何もできない人だと思われてしまいます。「実績はまだないけど私だったらここまでやり切れます!」くらいに大きくいって取引を取っていき、その取引の実績を重ねていくことも必要でしょう。また、言ったからにはやらなければいけないという自分のプレッシャーにもなりますし、モチベーションにもつながります。ただ、実態が伴ってこないとすぐに見切られてしまうので、あまり吹きすぎないように笑。
自分から積極的に情報を発信する
最後に、いずれにしてもとにかく大事なのは積極的に情報を発信していくことです。ブログで書いてもいいですし、SNSへの投稿でもいいですし、セミナーやワークショップに参加して出会った人に直接話していくでもいいです。信用は一日で作られるものではありませんので、地道な努力や活動が少しずつ積み重なっていくものです。お客様や取引先だけでなく、同業者への発信も大事で、同業者からの支持を得られるようになることも必要でしょう。
まとめ
今は、所属している企業のネームバリューが大事だ!という日本の従来型の働き方から、個人の信用あら仕事につながる次世代の働き方への転換期だと思います。今回はフリーランスの信用についてまとめましたが、そうではない社会人にとっても「個人の信用を得る」というのは価値のあることですし今後の仕事にも活きてくると思います。ぜひ、小さなことからでも自分のブランディングに取り組んでみてくださいね。