働き方改革や女性の活躍推進、副業推進などの政策の影響もあり、副業や起業することが以前と比べてより一般的になってきています。社会全般的にフリーランスとして独立・起業する人が増えていくことが予想されていますし、ウェディングプランナーをはじめとしたブライダル業界で働く人たちも、ここ数年でフリーランスとして活躍する方が増加、さらに今後もこの傾向は続くものと思います。一方、ブライダル業界全体では市場の縮小がすでに始まってきており、近いうちにプランナーも飽和状態となってしまうでしょう。そうするとプランナー間での顧客獲得競争が起こり、しっかりと生計を立てられるプランナーとそうでないプランナーに分かれていきます。そこで、今回の記事ではそういった市場環境になった場合にどうやって勝ち抜いていけばいいか、その方法をまとめました。これからフリーランスになることを目指している方、すでにフリーランスになっている方の参考になればと思います。
目次
フリーランスのウェディングプランナーの変化
正確な統計情報があるわけではないですが、フリーランスのウェディングプランナーは増えてきていますし、これからも増えていくと予想されています。理由はいくつかあるのですが、おおまかに以下の3つに分けることができます。
1.日本の労働環境や考え方が変化した
冒頭でも書いたように、日本人の働き方に対する考え方や企業の雇用形態は大きく変わってきています。終身雇用と年功序列は多くの企業ですでに崩壊しており、1つの会社で一生勤め上げると考える方が少なくなってきています。ブライダル業界も同業種・異業種問わず転職者を中途採用する企業がほとんどですし、プランナーに限らず自社で用意できないスキルやリソースに対して外部企業と提携してプロジェクトを進めることも多いでしょう。
特に2018年は副業解禁元年とも言われており、ベンチャー企業を中心に副業を認める会社も増えてきました。逆に企業側の視点で考えると、副業で仕事を探しているスキルを持った人がマーケットにいるのであれば、自社の仕事を依頼しようと考えるので、今後副業や企業を志す人、そういった人に仕事を依頼したい企業はより一層増えていくでしょう。
2.個人でも集客できるようになった
まだインターネットが普及していない時代は、高額な広告宣伝費を支払って雑誌やマス広告を実施し、認知を広げていくしか方法がありませんでしたが、ここ10年でFacebookやTwitter、InstagramなどのSNSが社会一般に浸透し、個人を通じで幅広く情報を発信、拡散ができるようになりました。特に近年では「youtuber」や「インスタグラマー」といった個人でも大きな影響力を持ついわゆる「インフルエンサー」も登場し、多くのフォロワーを獲得できれば個人であっても無料でたくさんの人に情報を届けることができます。これによって、多額の広告宣伝費をかけられない個人のフリーランスであっても、SNSを通じて情報発信や集客活動を行えるようになり、独立のハードルが下がったと言えます。
またそれ以外にも、wecoやプラコレなど結婚式場ではなく「プランナー個人」に注目・特化したサービスも広く浸透してきており、ゼクシィ一辺倒だった結婚式探しの方法からかなり多様化してきています。独立前にしっかりとした実績がある方であれば、こういったサービスから集客することも可能です。
3.ユーザーの購買に関する意思決定要因が変わった
日頃マーケティングの業務をやられている方は実感としてあると思いますが、マス広告で認知を上げればそのまま売れるという時代では既にありません。先ほどのSNSやインフルエンサーの台頭とリンクしますが、「知っているから買う」ではなく「誰がオススメしているから買う」というようにユーザーの購買の意思決定要因が変わってきています。このブログを読んでいただいている方も実生活の中で知り合いの誰かがオススメしてくれたから試してみた、という経験がある方が多いのではないかと思います。SNSが普及して誰しもが実体験やおすすめ情報を手軽に発信できるようになったので、その読者がその影響で購買するという図式になってきているのです。
これをブライダルに当てはめると、実際に担当して結婚式をしたお客様が激烈におススメしてくれれば直接の知り合いでなくてもそれを見て知ってもらえたり、興味を持ってもらえる、となり、いいサービスの提供が次の顧客を連れてくるという好循環を生むことができます。
このように「知らないサービスやプランナーは何者かわからないから怖い、ゼクシィに載っている会場なら安心だろう」という認知力絶対というマーケットではなくなってきているのも、フリーランスで活躍できるプランナーが増えてきている1つの要因だと思います(もちろん、相応のスキルは必要です)。
フリーランスプランナーが増えてきている理由は、以下の記事にも詳しくまとめていますので参考にしてください。
http://ichimarke.net/freelance-weddingplanner-increase
これからの時代に勝ち抜くために必要なこと
ここまで書いたように、今後もフリーランスになる人、目指す人は増えていくでしょう。並行してユーザーの結婚式場の選び方も多様化していくので、式場からではなくプランナーを選びたい!という層も一定割合で増えていくとは思います(欧米ではむしろこちらがスタンダードですしね)。ただ、ブライダル市場全体で見れば縮小していくのは間違いないので、環境としては厳しいものになっていくことが予想されます。
- フリーランスプランナーの同業者(=競合)が多い
- ユーザーが選べる立場になるので、よほど特徴がないと埋もれてしまう
- 抽象的なウエディングイメージの訴求だけではだめになる(自由な、とかオリジナル~、とか二人だけの幸せを~、とか、みんな言える)
- 具体的なメリットの訴求、逆に自分が得意とするユーザー層を客観的に定義し、シンプルに伝えないと届かない
こういったことがきちんとできないと、マーケットの中で生き残っていくのは難しい時代になっていくと思います。
やっぱり一番重要になるのは集客
やや厳しいことを書かせていただきましたが、フリーランスプランナーの売上構成を分解すると
売上=集客数×成約率×1組当たりプロデュースフィー単価
※集客数×成約率=施行組数
となり、成約率はそんなに差が出ない、プロデュースフィー単価も極端に市場平均から上げることもできない、となると、やはり生き残っていくには集客数をどれだけ高い水準で維持できるか、となってきます。かといって結婚式場の集客のように大々的に広告投資はできないので、自分の範囲でできることをしっかり継続して行っていくことが重要です。
結婚式場集客とフリーランスでは必要とする集客数が違うので、自分のホームページやSNSで情報発信するときは、マスを狙って広く浅い訴求をするのではなく、特定の誰かに向けて明確で具体的な訴求をすることを心がけましょう。極端な話ですが、サイトを見てくれた1,000人が全く興味を示さなくても、たった10人に猛烈に好かれれることを目指す、といった感じです。
仮に月間2組の成約(=施行)でいいのであれば、月に100件の問合せは必要なく、5件程度あれば十分なのです。その場合、みんなに好かれるようなふわっとした訴求をして確度の浅いお客様まで問合せしてもらうよりも、具体的なことを深く訴求して、自分とマッチするであろうお客様にだけしっかりと刺さるような表現をするべきなのです。
また、将来的にはフリープランナーとユーザーのマッチングサービスも出てくると思います。フリープランナーの数が増えて、ユーザーのニーズも増えるので、当然と言えば当然ですが…。自力の集客がまくいっても、もし今後有力なサービスが出てきたときに乗り遅れると一気に風向きが変わることもあるので、マーケットや業界トレンドはしっかりとチェックするようにしましょう。
まとめ
これからフリーランスになる方に向けて、マーケットの予測と重要なポイントをまとめました。集客について具体的に何をするべきかはまた別の記事で書こうと思いますが、一番大事なので知識でもスキルでもなく、継続することです。自分でやると決めたら覚悟を決めて、着実に取り組んでいきましょう。