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ウェディングプランナーの離職率はなぜ高いのか?

公開日 2018/08/29
プランナーの離職

ウェディングプランナーはお客様の一生に一度の晴れ舞台に携わることができる非常にやりがいのある仕事ですが、その一方で転職や退職が多いのも事実です。実際、高い離職率に頭を悩ませている経営者も多いですし、今はウェディングプランナーとして働いているけど実は転職を考えているという方も多いのではないでしょうか?今回の記事では、これまで見送る側と採用する側の両方の経験から、ウェディングプランナーの転職したくなる理由や、オススメの転職方法について、今だから言えることも含めて少し私見を書いて見ようと思います。

ウェディングプランナーの離職・転職の実態

ウエディングプランナーは、学生だけではなく異業種から転職を希望する人も多い人気も高い職業で、会社によっては就活時の応募倍率もかなり高いにも関わらず、ウエディングプランナーになってから1年〜3年未満で仕事を辞めてしまう人も多く、サービス業界の中でも離職率はかなり高いほうだと思います。離職率が高い理由はいくつかあるのですが、華やかで人気の高い職業ではあるもののプランナー一筋で長く続けやすい職業とは言いにくいのが実情と言えるでしょう。

ブライダル業界の離職率

上のグラフは厚生労働省の平成28年雇用動向調査の概況です。産業別の離職率がグラフ化されていますが、ウェディングプランナーは「飲食サービス業」なので、入職率は32.0%、離職率は30.0%、となっています。こちらの結果を見ても、全業態の中でも一番入職が多く人気が高い一方、離職も一番多い業界であると言えます。
以前私が働いていた時の実態感としても、やはり出入りは多かったように思います。もちろんブライダル業界のすべての会社で高いわけではないと思いますが、他業界と比べると全体的に高めであるのは間違いないと思います。
なぜこんなに離職率が高いのでしょうか?次に、ウェディングプランナーが転職・離職をする理由を書いていきます。

ウェディングプランナーが離職・転職をする理由

ウェディングプランナーの転職理由

転職理由①:労働時間が長い

サービス業全体に言えることですが、一般的なホワイトカラーと比べると労働時間は長くなりがちです。特にブライダル業界の場合は、週末は結婚式が入っていることがほとんどなので基本的に土日休みはなし、朝イチの施行の担当を持っていると搬入やお出迎えからいなければいけないので朝6時から出勤、さらに夜の施行担当を持っていると終電ギリギリで気づけば16時間くらい働いていた…、ということも珍しくありません。その分、平日のシフトは比較的朝は遅く帰りは早い会社もありますが、1週間を通してみるとやはり総労働時間は長くなりやすいです。
また、業界的に繁忙期と閑散期の忙しさの差が激しく安定しないので、新規プランナーは1月やGW、お盆明けは接客に出続けることになりますし、打合せプランナーは3月や10月11月のオンシーズンの担当数が他の月の2倍ということもあります。
そのため、同じ業界の人としか休みが合わない、繁忙期や週末の体力の消耗が激しい、という理由でだんだん続けられなくなってくる、という方が多い印象です。

転職理由②:給与が高くはない

大手ブライダル企業の平均年収は以下の通りです(カッコ内は平均年齢/平均勤続年数)。

  • テイクアンドギブニーズ:437.5万円(30.8歳/4.0年)
  • ツカダ・グローバルHD:512.3万円(40.7歳/6.1年)
  • ノバレーゼ:411.8万円(31.6歳/3.5年)
  • エスクリ:410.2万円(30.5歳/2.5年)
  • アイ・ケイ・ケイ:351.8万円(28.9歳/4.9年)

※(出典)年収ラボ

労働時間や仕事の責任の大きさと比較すると、決して高くはないと言えるでしょう。

転職理由③:仕事の責任が大きい

結婚式はお客様の一生に一度なので、常に全力で誠意をもって対応することが求められます。1か月の担当組数が多かろうと、休みなく接客に出続けた後だろうと同じです。ただ、プランナーも人間ですので疲れてくると当然手配ミスや進行ミスなど細かなミスが増えてきてしまいます。
プランナーから見ると何十組と持っている中のたった1組で起こったミスでも、お客様では人生の1分の1なので、ミスがあればクレームになることもありますし返金を求められることもあります。そうなると会社からの評価も厳しくなりますし、お客様からも怒られますしメンタル的に厳しくなってきてしまい、これ以上は続けられないと思ってしまうことが多いです。精神的なタフさが求められます。

転職理由④:キャリアプランが描きにくい

ブライダルの企業は結婚式を単一事業で運営している会社がほとんどなので、ウェディングプランナーのキャリアは「結婚式場で働く中での出世」として語られることが多くなってしまいます。一般的な結婚式場のキャリアアップは「ウェディングプランナー→リーダー→マネージャ→支配人(責任者)」となっていて給与レンジも役職に応じて上がっていくいう会社が多いと思いますが、マネジメントにはあまり興味がない、尊敬できる上司(支配人やマネージャ)がいないので自分がなりたいと思わない、プレーヤーとして仕事をしたい、という希望を持たれる方は、その時点で昇格が事実上ストップしてしまうことになります。
もしブライダル以外にも複数事業を運営している会社であれば同じ職種(例えば営業)でも別の商材を扱うといった社内異動もかないますし、プランナーの経験を活かしてマーケティングの仕事をしたりカスタマーサポートの仕事をしたりといったこともできるとは思いますが、そこまでの規模や制度がない会社だとそれも難しくなるので、これ以上この仕事を続けても…と頑張れなくなって転職を考えるようになってくる方が多いです。

転職理由⑤:職場の女性比率が高い

ブライダル業界は圧倒的に女性のほうが多い業界です。正確な統計データを取ったわけではないですし会社によっても差はあるとは思いますが、結婚式場の現場で働く方は7割以上が女性だと思います。そのため、結婚や出産などライフステージの変化があって時間的な制約ができたタイミングで退職をされる方も多いです。

また、女性が多い職場なので女性同士の先輩後輩の人間関係が非常にやっかいなこともよく起こります。そもそも仕事が忙しいのでストレスが溜まりやすいので、新人プランナーがイジメや悪口などストレスのはけ口にされやすい構造になってしまうのです。また結婚式場という一つの職場に、プランナーだけではなく、スタイリスト、フローリスト、サービス、シェフと多様なスタッフが出入りしているので人間関係も複雑になりがちというのも一つの要因と言えるかと思います。

転職理由⑥:売上と顧客満足度のバランスが難しい

ウェディングプランナーは会社の中の役割としては「営業」なので、数値責任が目標設定に組み込まれている会社がほとんどだと思います。新規プランナーであれば成約数、打合せプランナーであれば売上(もしくは組単価)が多いでしょうか。実際にお客様と接していると、会社から求められる数字の責任(=自分の評価)と、予算で悩まれてけんかになってしまう目の前のお客様の幸せとどちらが大切なのか?というように二元論で仕事をとらえるようになってくるメンバーもいます。そうすると、会社から求められる成果と目の前のお客様の幸せのバランスが自分の中でとれなくなり、会社の方針と自分のやりたいことが合わないので転職を考えるようになる方もいます。

どうしたら離職率の高さは改善するのか?

上記のような理由が複合的に重なってくるので、ウェディングプランナーの離職率は高くなっているのだと思います。また、これらは最近になって出てきた課題というよりは業界構造的に昔から抱えている業界全体の課題であると言えますし、業界的に改善してくべき課題だと思います。もしこの構造的な課題を改善できるとしたら、近年の働き方改革に合わせて「プランナー個人個人の働き方に合わせた仕事を提供できる環境をつくること」かなと思っています。

具体的には「箱」である結婚式場と、「ディレクター」であるウェディングプランナーとを切り離して結婚式を作れる仕組みができればいいんじゃないかな、と。つまり式場にプランナーが所属しない状態ですね。そうなればプランナーは自由なシフトを組むことができるし詩文のペースで担当を持てます、さらにプランニングや営業(代行含む)の成功報酬をプランナーが自分で決める登録制のシステムまで整えられれば、働きやすさと実力主義の世界が作れて、腕に自信のある方であれば年収1,000万円超えのプレーヤーも夢ではないのかなと思います。詳しく書くとこれだけで1記事書けてしまうので割愛しますが、私が思うのはこんな感じの世界観ですね。

ただ、これらの方法は単一企業だけで頑張っても実現は難しく、業界全体で進められなければ改善は遠いのではないかと思っています。また、時間軸としてこれから数年で劇的に改善していくことは難しいと思いますので、もしすでに離職を考えている現役ウェディングプランナーであれば、現実的にはできるだけ自分の働き方やライフステージにフィットした会社や業界を探して転職をする、というのが一番無難で安定した選択だと思います。

なので、最後に実際にウェディングプランナーから転職するとなったらどういう方法があるのか、というのも簡単にまとめます。

ウェディングプランナーから転職する方法

異業種への転職、同業界の別会社への転職に関わらず、大きく分けると3つの方法があります。

①転職サイトに登録する

転職サイトとは、サイトに登録しレジュメ(職務経歴書のようなもの)を入力すると、ヘッドハンターや人材エージェントや企業から直接スカウトメールが届くサービスで、今の国内で最も有名なサービスだとビズリーチだと思います(自分でサイト内で求人を探すこともできます)。転職を考え始めた段階で絶対にこの会社に行きたい!という具体的な社名の希望を持っていないのであれば必ず登録したほうがいいと思います。私も以前の転職時にビズリーチを使いましたが、スカウトメールの文面から自分のどこを評価してもらっているのかが事前にわかるので選べびやすいですし、ブライダル企業の求人も多く、登録後の一定期間は無料で使えるので、とりあえず登録してスカウトメールを見るだけでもしておいたほうがいいと思います。
ちなみに、ハイクラスで年収が高い人限定!といった印象もありますが、実際はそれよりも低い年収レンジの求人もありますし登録している人材エージェントも幅広い求人を持っています。そこまで厳格な縛りがあるわけではないのでその点は心配しなくていいでしょう。

②人材エージェントに登録・相談する

人材エージェントとは、登録するとキャリアアドバイザーが担当でついてくれて、これまでの職務経歴や今回の転職で希望することなどをヒアリングした後、その希望にマッチした会社や求人を紹介・アレンジしてくれるサービスです。ブライダル業界でいえば、ゼクシィなびやマイナビウエディングのカウンターと同じです。お客様の要望をヒアリングしてそのニーズにマッチした会場を紹介、来店予約まで行ってくれるといった感じですね。

人材エージェントは、求人の紹介から面接の設定までのアレンジ、さらに企業ごとの面接対策やレジュメの添削なども行ってくれるので(サービスによって異なる場合あり)、転職活動をスムーズに進めることができるというのが最大のメリットだと思います。さらに、エージェントだけが保有している非公開求人も多いので、エージェントを通じてしか紹介してくれない求人などもあります。また、ウェディングプランナーは平日休みのシフトで働いていることが多いので、面談や面接の設定が比較的組みやすいのもいいところですね。

③求人サイトで自分で探す

求人サイトを利用する場合は、求人が掲載されているサイト上で自分で気に入った求人を探します。エージェントに行く時間がなかなか取れない方や、バイトや時短で働ける求人なども豊富に掲載されているので、そのような求人を探している方にオススメです。

私がオススメする転職サービスの利用方法

忙しくてなかなか時間が取れない方、正社員の転職を希望する方

①まずビズリーチに登録

レジュメまでしっかり書きましょう。そうするとスカウトメールが届くようになります。登録後はおそらくたくさん届くと思いますが、その中から気になるものがあればコンタクトとります。もしメールがたくさん届くのが抵抗ある方は、転職情報のためだけのフリーアドレスをgoogleやyahooで取得しておくと、プライベートと分けて管理できるのでいいかと思います。

②次に人材エージェントに2-3社登録

エージェントごとに特徴やサービス対象エリアの違いがありますし、担当してくれるキャリアアドバイザーとの相性もあるので、個人的には2-3社にまず登録して話を聞いてみることをオススメします。その上で、自分とあいそうな会社や担当を選んで活動を進めるといいでしょう。また、ウェディングプランナーは平日休みのシフトの方が多いので、面接や面談の予定を比較的組みやすいです。

自分で探したい方、アルバイトや契約社員、時短などの働き方で転職を希望する方

求人情報サイトで自分の希望するエリア、給与、その他条件を設定して求人を探しましょう。最近の求人サイトは本当に細かい条件まで設定できるので、希望に合った求人も見つかりやすいはずです。見つけた後はそのままサイトで応募できる場合もありますし、一度登録が必要な場合もあります。また、面接に行くときは履歴書を用意しなければいけませんので、面接対策や準備はしっかりと行って臨むようにしてください。

まとめ

ウェディングプランナー非常にやりがいのある仕事ですが、その一方、肉体的・精神的にも安定しやすいわけではないので入職率も離職率も高い職業です。根本的な解決を業界全体で考えていかなければいけないですが、もしそうとはいかない環境でお仕事をされている方にとって少しでも参考になっていると嬉しいです。

Wedding Me Career

Wedding Me Career編集部
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