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結納の流れと婚約式について学ぼう|ブライダル基礎講座

公開日 2021/05/01

このブライダル基礎講座は、ブライダル業界専門の転職支援サービス「ウェディングミーキャリア」がお届けするブライダル業界で働く人なら知っておきたい基礎知識をまとめたWEBコンテンツ。
ブライダル業界の全体を知り、より実践に近づく業務を知ることができる内容をお送りします。

結納

今回のテーマは『結納と婚約式』についてです。婚約は、ふたりの口約束でも成立しますが、一般には婚約記念品の交換や両家顔合せ、結納、婚約パーティといった形で公表されることも多いです。ここでは、日本独特のしきたりである結納と婚約式について解説します。

結納とは

「結納」は、正式に婚約が調ったことを確認し、両家の間で金品を取り交わす儀式です。結納という言葉は、「言納(いいいれ)」が「結納(ゆいいれ)」に転じ、さらに「納(いれ)」を「ノウ」と音読したものです。婚姻関係を結ぶにあたって飲食する酒や育を「結いのもの」といったことから、ふたつの家を結びつける結納の習慣になりました。
現在、約2割強のカップルは、結納と両家顔合せの両方を行っています。結納だけを行うケースは5%未満と少なくなっていて、両家顔合せだけを行うケースが7割弱と最も多い割合です。
現在の結納は男性が女性に結納金(現金)を贈る儀式が中心ですが、もとは結婚の約束の証に、男性側が花嫁支度として帯地などを贈っていたものです。時期は結婚式の半年~3か月前が一般的で、大安吉日の午前が多く、昼食を兼ねた会食へという流れでおこなわれます。

結納の形式

結納のしきたりや形式は地方によって異なっていますが、伝統的な方式としては主として関東地方で行われる『往復型結納』と、主として関西地方で行われる『片道型結納』に大別することができます。贈る側のしきたりに従う場合や、受け取る側のしきたりに従う場合があり、通常は両家で話し合って決めます。

「往復型」結納

結納は、両家がそれぞれ仲人以外の使者を立て、結納を取り交わす方法が正式とされます。しかし現在は、仲人夫妻が使者として両家を行き来するのが一般的となっています。
仲人夫妻はまず男性宅を訪れ、結納品をもって女性宅へ納めたあと、女性宅からの受書(うけしょ)と女性側の結納品を男性宅へ納めます。その後男性宅で受書を預かり、もう一度それを女性宅に納めることで結納が完了します。関東地方はこの形式が多く、結納を「交わす」という。目録の名前は「本人→本人」が多いです。

「片道型」結納

男性がひとり、あるいは両親や親戚代表を伴って女性宅に行き、結納品を届ける形式です。仲人は女性宅で待っている場合と、男性と同行する場合とがあります。後日、女性側が結納返しを行います。
この形式は男性が女性へ結婚の申し込みをするという意味が込められているといわれています。関西はこの形式で結納を「納める」と表現します。

略式結納「集合型」

近年最も一般的なのが、両家の関係者が1か所に集まって行う集合型の結納式です。男女どちらかの自宅やホテル、料亭、レストランの1室のほか、専門式場の結納の間などが利用されることもあります。仲人がいる場合は、同席します。
恋愛結婚の場合、仲人は結婚式当日だけ依頼し、結納は両家のみで行うこともあり、その場合は仲人と仲人夫人の役割を両家の両親が担います。

結納の席次

結納の席次は、結納が行われる場所や、結納の形式、地方のしきたりによっても異なります。ここでは一例として、関係者一同が集まる略式結納「集合型」の席次について例示します。

仲人なしの席次例

床の間がある場合、その前が上座に当たります。左右の位置については、床の間の前や部屋の入口から遠い席が最も上位で、次位が床の間などを背にして左、その次が右となります。結納品は、あらかじめ床の間などの前に飾っておきます。

仲人なしの席次例

仲人ありの席次例

仲人がいる場合は、下座に座って進行役を務めます。

仲人ありの席次例

結納品とその意味

結納には、結納品・結納金・目録・受書が必要です。両家は当日までに準備し、結納式を始める前に、これらを結納飾り台などにのせ、床の間やテーブルにセットします。
結納品は伝統的な縁起物を様式化したもので、品数も9品、7品、5品などの奇数で整えられていますが、地方や家のしきたりにより、内容や飾り方は異なります。

結納品(9品)

1.長熨斗(ながのし) アワビを干して長くのした(伸ばした)もののこと。アワビは古来神への捧げ物としていたおめでたい食物。長寿の象徴として、結納品に必ず添えます。関東式結納では目録に書き入れないのが通例です。
2.目録(もくろく) 結納品の品名や数量を記したもので、毛筆体で記されています。印刷されている場合でも御帯料・御袴料の部分は手書きで記入します。目録には句読点を打ちません。
3.金包(きんぽう) 結納金のこと。新郎から新婦へ贈る結納金は御帯料(おんおびりょう)、新婦から新郎へお返しする結納返しを御袴料(おんはかまりょう)と記します。中包みの表面に「金○○円也」と記入します。帯料のお返しとして袴料を包む場合、一般的に金額の半額を目安とし、「半返し」といいます。婚約指輪を添える場合は、「優美和(ゆびわ)付」または「結美和付」と書き入れます。
4.勝男武士/勝男節(かつおぶし) 鰹節のこと。古くは、武家の保存食や非常食として常備されていました。出陣の際「勝男武士」という意味を込めて武運を祈った縁起物です。男性の力強さを象徴しているといわれています。
5.寿留女(するめ) スルメのこと。保存が利き、噛めば噛むほど味がでることから、永く連れ添う仲のいい夫婦であってほしいという意味が込められています。
6.子生婦(こんぶ) 昆布のこと。昆布は非常に繁殖力が旺盛なことから、元気な子供を産んで欲しいという意味が込められています。喜ぶにかかっている縁起物の1つです。
7.友白髪/友志良賀(ともしらが) 白くした麻の束のこと。共に白髪になるまでという長寿の願いと、麻のように強い絆で結ばれる、という意味が込められています。
8.末広/末廣(すえひろ) 一対になった白扇のこと。扇を広げた形が末広がりを意味し、幸せが末永く続くようにとの願いが込められています。白は、純潔・潔白を表しています。
9.家内喜多留/柳樽(やなぎだる) 酒肴料のこと。もともとは祝いの酒を贈っていたものが、現金に代わりました。「家内喜多留」は、家庭円満の願いを込めた当て字です。

結納に際して、本人と親族を紹介する「家族書」「親族書」を両家で交換することもあります。

結納品の飾り方(関東式)

①~⑨までの品を右から並べます。関東地方から北の地域では、すべての結納品を1つの台に飾る「一台飾り」が一般的で、関西地方をはじめとする西の地域では結納品を1品ずつ台にのせるのが一般的です。

目録の書き方の一例(男性から女性への目録)

目録の書き方

受書の書き方の一例(女性から男性への受書)

受書の書き方

家族書の書き方の一例

家族書の書き方

親族書の書き方の一例

親族書の書き方

結納の式次第と口上の一例

結納は地方によって異なったしきたりがあるが、ここでは一例として、略式結納「集合型」の式次第と口上を紹介します。

両家入室

男性側、女性側の順で入室し、席次に従って着座します。

仲人着座・挨拶

仲人および仲人夫人が入室・着座し、両家にお祝いの言葉を述べ、結納の取り次ぎ役をつとめることを述べます。

男性の結納を女性に渡す

男性の母親が結納品を取りに行き、それを仲人の前へ運ぶ、男性本人か男性の父親が仲人に結納の取り次ぎを依頼する挨拶を行う。それを受けて、仲人夫人が女性の前に結納品を運びます。

女性が結納を受け取る

仲人は、女性に対し男性からの結納の品である旨を告げます。女性は結納を受け取ります。

目録に目を通す

女性は目録だけを手にとって、軽く目を通したら両親に回し、元通りに包んで戻す。女性側はお礼の言葉を述べます。

仲人が女性から受書を受け取る

女性の母親は目録などを女性側の床か台に飾り、女性側の受書などを取って仲人の前におく。続いて女性側の父親が、仲人に男性への取り次ぎを依頼する挨拶を行う。それを受けて、仲人夫人が男性の母親の前に受書を運びます。

仲人が男性に受書を渡す

仲人は、男性に対し女性からの受書である旨を告げる。男性側は受書を受け取ります。

受書を納める

男性の母親は受書を開き、父親、本人へと回し、もと通りに包んで右側に納めます。

女性の結納を男性に渡す

女性の母親が結納をとりに行き、仲人の前へ運ぶ。そののち女性本人か父親が仲人に結納の取り次ぎを依頼する挨拶を行う。それを受けて、仲人夫人が男性の前に結納品を運ぶ。男性が結納を受け取り、目録に目を通し、仲人が男性側から女性側に受書を渡し、女性が受書を納めるまで、男性からの結納と同様に進行します。

仲人の挨拶

すべてが滞りなく終了したら、仲人が両家に対し祝辞を述べます。

父親が感謝の言葉を述べる

両家の父親と本人たちが仲人に謝意を述べて結納式は終了します。このあと、場合によって記念撮影を行い、全員で祝い膳を囲み会食します。

結納のマナー

結納金の金額

男性からの結納金である「御帯料」は、男性の月収の2~3か月分が一般的な相場とされています。女性からの返礼の「御袴料」は、半返しといわれるように半額が基本です。ただし「御袴料」は地方によって2割返しや3割返しの場合もあります。
昨今は女性からの半返しを省略し、最初からその金額分を差し引いた額を男性からの結納金とする場合もあります。

口上の決まり

口上は、地方により厳密な決まりがある場合と、かなり簡略化される場合など、その結納の形式に合わせて述べられます。「幾久しく」はどのケースでも使われる言葉で、「幾久しくお納めください」「幾久しくお受けいたします」など、一種の決まり文句として使われています。

服装

結納は結婚式に次いで重要な儀式のため、準礼装か略礼装が基本です。男性の場合、和装なら三つ紋か一つ紋の羽織・袴、洋装なら黒や濃紺、濃いグレーのフォーマルスーツに白シャツ。女性は和装なら振袖か訪問着か付下げ、洋装ならセミフォーマルなワンピースかスーツを着用します。いずれも両家のバランスがとれるよう、事前に相談して決めましょう。

言葉づかい

「切れる」「別れる」「重ね重ね」「くれぐれも」などの忌み言葉、重ね言葉は、結納だけでなく、ブライダル一般に使いません。

その他

和室で行われる正式な結納では、机も座布団も使用しないのが正しいとされています。ただし、現在ではさほどこだわりはなくなっているようです。
また、煎茶は「茶々を入れる」「茶を濁す」などといわれたり、不祝儀で使われたりすることが多いため、結納や結婚式では、桜湯、昆布茶、葛湯などが供されます。
※桜湯…塩漬けにした桜の花に、熱湯を注いだ飲物。

婚約式とは

婚約式には大きく分けてキリスト教式の婚約式と、オリジナルの婚約式があります。時期は、結婚式の1年前~数か月前に行なわれるのが一般的です。
キリスト教式婚約式の場合、聖職者(カトリックでは神父、プロテスタントでは牧師)の立ち会いのもとで、両親や兄弟、友人なども列席して執り行われます。婚約指輪など記念品の交換は、行っても行わなくてもよいとされています。費用は、聖職者への献金という形で支払われます。
オリジナルの婚約式は、ホテル、レストラン、式場、自宅など様々な場所で行われ、式次第などもふたりが自由に決める場合が多いです。この場合も、親や兄弟、知人など本人たち以外の第三者が立ち会い人として参加することで、婚約が成立します。

キリスト教式婚約式の一例

①前奏
②讃美歌
③聖書朗読
④祈祷
⑤誓約
⑥婚約記念品の交換
⑦祈祷
⑧讃美歌
⑨祝祷(しゅくとう)
⑩後奏

前奏、後奏はなくてもよいとされ、その場合、黙祷を行います。キリスト教式では、婚約式も結婚式も参列者はすべて「誓約を聞き届けにきた証人」とされます。

婚約披露パーティー

婚約発表の形として、婚約披露パーティを開くこともあります。両家の家族に加えて親しい友人や知人、親戚などを呼ぶのが一般的です。場所はホテルや専門式場、レストランの1室や、パーティルーム、自宅など様々です。
パーティ進行にとくに決まりはありませんが、婚約記念品の交換など、セレモニー的な要素をとり入れることはあります。婚約したふたりの服装は、スーツやワンピースなどの略礼装でよいとされています。招待状もふたりの名前で出すことが多いです。
ホテルや専門式場、レストランによっては、「婚約パーティプラン」などの商品を販売していることもあるため、ブライダル・コーディネーターは積極的に勧めることが要請されることもあります。

まとめ

今回の『結納と婚約式』では、結納の形式や結納品、式次第と口上の一例など結納の基礎知識と婚約式と婚約披露パーティーについて書きました。

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