このブライダル基礎講座は、ブライダル業界専門の転職支援サービス「ウェディングミーキャリア」がお届けするブライダル業界で働く人なら知っておきたい基礎知識をまとめたWEBコンテンツ。
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ブライダルにおいては、洋装・和装を問わず、新郎新婦にふさわしいドレスコードがあります。新郎新婦の個性や好みにあった衣装を選ぶことは重要ですが、招待客に失礼がないように衣装を調えるという一面もあります。衣装選定においての実務的なアドバイスは専門知識が豊富な衣装店スタッフが行うので、ブライダル・コーディネーターは「おもてなしにふさわしいか」「結婚式やパーティの格やテーマにふさわしいか」という視点から、新郎新婦にアドバイスします。ここでは、新郎新婦衣装のベーシックなルールを解説するとともに、衣装小物、アクセサリーなどを紹介します。まずは、『洋装のドレスコード』について学んでいきましょう。
洋装のドレスコードとは
一般に、パーティにはその主旨や格、開かれる時間帯などによってドレスコード(服装の決まり)があります。とくに洋装の場合、ドレスコードは午後6時頃を目安に、昼の礼装と夜の礼装を区切っていまう。男性の場合は着用するジャケットやズボン、タイなどの種類が変わります。女性の場合は日中は肌を露出せず、光沢のある素材は使用しませんが、夜は肌を露出する部分が多いデザインで光沢のある素材を選ぶといったドレスコードがあります。
披露宴はフォーマルな場のため、新郎新婦は正礼装で臨むべきとされています。実際のブライダルでは例外も多数ありますが、ここでは基礎知識として必要な正礼装、準礼装のドレスコードを紹介します。
洋装のドレスコード
昼/男性 | 昼/女性 | 夜/男性 | 夜/女性 | |
---|---|---|---|---|
フォーマル=正礼装 (格調高い結婚式、式典) |
モーニングコート フロックコート |
アフタヌーンドレス ローブ・モンタント |
テールコート (ホワイトタイ) |
イブニングドレス (ローブデコルテ/袖無しが基本) |
セミフォーマル=準礼装 (一般的な結婚式、祝賀会) |
ディレクターズスーツ | セミアフタヌーンドレス | タキシード (ブラックタイ) |
セミ・イブニングドレス ディナー/カクテルドレス |
インフォーマル=略礼装 (形式にこだわらないパーティ) |
ダークスーツ | ワンピースなど | スーツスタイル | ワンピース、スーツ |
花嫁のドレス
結婚式・披露宴では、洋装の場合、花嫁は正礼装仕様で仕立てられたウエディングドレス、カラードレスを着用します。洋装ドレスのデザイン、生地、洋装小物には様々な種類がありますが、ブライダル・コーディネーターには必須の知識となりますのでしっかり覚えていきましょう。
ドレスのデザイン
キリスト教では、神の前で肌を露出するのはタブーとされているため、キリスト教式の結婚式では胸や肩、腕を隠すことが望ましいとされます。一般に、肌を露出するデザインの場合は、グローブやボレロなどを着用して肌を隠すよう工夫します。ただし、現在はそれほどこだわらなくなっています。代表的なウエディングドレスのデザインを見ていきましょう。
①Aライン
上半身(バストの下あたり)から裾へ向けて広がったライン。縦のラインが強調されます。が、ほどよくボリューム感も出ます。ウエストに切り替えがないためすっきりとした印象になり、背を高く見せる効果もあります。
②プリンセスライン
上半身は体にフィットし、ウエストから裾にかけてフレアー状にスカートが広がるライン。ウエストの切り替えがなく、縦に切り替え線があることが特徴です。近年はウエストに切り替えがあり、スカートにふくらみのあるデザインを総称して「プリンセスライン」「プリンセスドレス」と呼ぶことも多いです。
③マーメイドライン
上半身から膝下あたりまで身体のラインにフィットさせ、膝下から広がりを持たせたライン。エレガントで女性らしい印象を与えるデザインとして人気があります。
④ベルライン
ウエストを細く絞り、とくに腰周りにふくらみを持たせて、裾へかけて広がったライン。ウエディングドレスの中ではオーソドックスな形状で、広い会場に適するボリューム感があり、華やかな印象を与えます。ベル&ドームラインと呼ばれることもあります。
⑤スレンダーライン
体のラインにフィットした、縦長で細めのライン。シンプルで大人っぽい印象となる。背が高くほっそりとした人に似あいます。あまり広くない会場でも映えるデザインです。パニエ(スカートにボリュームを出す下着)が不要なので、持ち運びがしやすいドレスです。
⑥エンパイアライン
バストの下から広がりを抑えたスカートが始まるハイウエストで直線的なライン。視線を上半身に集めるので、足を長く見せる効果もあります。
おもなドレスのライン
ドレスのカラー
ウエディングドレスとは、一般には白いドレスをさすが、生成りやシャンパンカラーなどまでウエディングドレス(白ドレス)に含むこともあります。白ドレスでは、小物を含め、すべてを白か白系統の色で統一するのが基本とされます。
披露宴のお色直しでは白以外のカラードレスを着用するケースが一般的ですが、最近はデザインを変えた白ドレスを着用するケースもあります。洋装では女性の黒のドレスは喪の服装とされるため避けた方が無難です。
ドレスの生地
ウエディングドレスに用いられる生地として、代表的なものをいくつか紹介します。ドレスのデザインと生地には密接な関係があるので、ブライダル・コーディネーターは生地の特色を知り、ドレスコードやデザインに適したものを提案することが重要です。
サテン
代表的な素材で、上品な光沢と滑らかな手触りが特徴です。
シャンタン
生糸と玉糸が交差している、マットな質感がある織物。軽量であるが落ち着いた雰囲気があります。本来はシルク製をいうが、化繊のものもあります。
タフタ
光沢と張りがある織物で、ドレープのあるドレスに陰影を与える時などに適します。高級感がある印象です。
ジョーゼット
透けて見えるほど薄くしなやかな、平織りの生地。細かい凹凸で色に変化を与えます。
チュール
六角形の網目状に薄く織った布地で、張りがあり、重ねて使うとボリューム感が出ます。
オーガンジー
チュールよりも細かく透けて見える平織りの生地で、しなやかな張りがあります。
シフォン
透けて見えるほど薄地の絹織物で、柔らかいのが特徴です。
レース
糸で模様などを編み込んだり、刺繍したりした布地。繊細に模様を編み込んだリバーレース、機械で処理したケミカルレース、チュールなどに箔糸を刺繍したエンブロイダルレースなどがあります。
ウエディングドレスの白
白いウエディングドレスが一般に広まったのは、19世紀、イギリスのビクトリア女王が自身の婚礼の際に白いドレスを着用して流行になったから、という説が有力です。
洋装小物
ウエディングドレスを着用した際に必要になる正装用の小物には、以下のようなものがあります。それぞれに種類があり、ブライダルテーマやドレスのデザインにあわせて選定するのがポイントとなります。
ベール
結婚式のときに着用し、一般にパーティではつけませんが、ベールアップした状態でたらしておくケースもあります。ドレスの裾よりも長いものが正式とされます。ベールは長さによって様々な種類があり、短いものからショルダー、エルボー、フィンガーチップ、チャペル、ワルツ、カテドラルと呼ばれています。
グローブ
本来はキリスト教教会で肌を隠すためにつける目的がありましたが、人前式や披露宴でもドレスにコーディネートすることが多いです。ロンググローブが正式とされ、長さは40、50、60cmなどのサイズがあります。
パニエ
ボリュームのあるドレスを着用する場合に、スカートの下にはく下着のことです。レンタルドレスの場合は、セットになっている場合が多いです。
靴・バッグ
靴はドレスと同じ生地(白サテンなど)のものであつらえるのが正式とされます。現在では、ドレス丈や花婿の身長にあわせて花嫁の身長を調節する意味合いがあるため、ドレス店などで適切な高さのものをレンタルする場合も多いです。
バッグを持つ場合も、布製が正式とされています。格式の高さやマナーを重視するお客様に対しては、皮革製品のバッグは提案しないほうがよい。
ブライダルインナー
肩ひもがなく、胸の位置を上げ、ウエストを絞る専用のインナーを着用することが多いです。花嫁が妊娠中の場合は、ブライダル専用のインナーではなくマタニティ用のインナーを使用する場合もあります。下着類は花嫁が購入して用意しますが、衣装店でアドバイスを受けたり、購入できることも多いです。ストッキングは肌色のものを着用します。靴をレンタルする場合があるので、靴擦れを防ぐ目的もあります。
洋装アクセサリーの選び方
ブライダルのアクセサリーは種類が多いが、ネックレス、イヤリング、ヘッドアクセサリーともドレスのデザインにあわせて選び、コーディネートすることが重要です。
アクセサリー
一般に、結婚式などの正装ではネックレスを身につけるのが正式とされています。ネックレスの材質は様々ですが、パールやプラチナ、ダイヤモンドなどの貴金属、ラインストーンなど、色味がなく、かつ上質なネックレスがふさわしいとされます。イヤリング、ブレスレット、アンクレットなど、その他のアクセサリーはネックレスと同じ素材、デザインのものを選ぶことが多く、ブーケの花材にあわせてフローリストがつくる場合もあります。
ヘッドアクセサリー
髪につける飾りは、ヘッドアクセサリー、ヘッドドレスなどと呼ばれています。ティアラ、クラウン、ボンネ、カチューシャなどの種類があります。アクセサリーと同様、ブーケと同じ花材でフローリストがつくる場合があります。ブライダルテーマに沿って、ヘアスタイルやドレスの雰囲気、アクセサリーとのバランスを考慮して選ぶことが大切です。
ヘッドアクセサリーの種類
ヘッドアクセサリーで人気が高いものが、ティアラ、カチューシャ、ボンネ(カチューシャを幅広くした形でアップスタイルによく使われる)、クラウンなどが挙げられます。
パールネックレスの長さとその名称
パールは、冠婚葬祭のいずれにも使用できる礼装にふさわしいジュエリーです。ネックレスは、長さによって名称が異なります。
チョーカー | 35cm |
プリンセス | 43cm |
マティネー | 53cm |
オペラ | 71cm |
ロープ | 106cm |
ロングロープ | それ以上 |
テーマウエディングという視点に立つと、誕生石を使ったアクセサリーや、会場コーディネートにあわせた星形やハート形などのアクセサリーなど、様々な提案が考えられます。正装の場にふさわしく、かつ花嫁の好みも取り入れたドレスコーディネートを考える必要があります。
洋装のラッキーアイテム
洋装では、アクセサリーのほかに縁起物(ラッキーアイテム)を身につけることがあります。花嫁が身につけるラッキーアイテムの種類と由来を紹介します。
サムシングフォー
欧米では、花嫁は次の4つのアイテムを身につけると幸せになれるといわれています。
●サムシングオールド
古いものを意味し、欧米では祖母や母から譲られたものであることが多いです。
●サムシングニュー
新しいものを意味し、欧米では新調のウエディングドレスを身につけることが多いです。
●サムシングボロー
借りたものを意味し、幸せな結婚をした友人から借りることも多いです。欧米では、ベール、アクセサリーなどを借りるケースが多いようです。
●サムシングブルー
青いものを意味します。青は聖母マリアのシンボルカラーで、花嫁の純潔を示す。欧米ではガータートスに使うガーターベルトに用いるともいわれる。
イニシャルを刺繍したハンカチ
ヨーロッパでは、花嫁のイニシャルや日付を刺繍したハンカチを持ち、結婚式に臨む習慣があります。家族の幸せを引き継ぐという意味があるといわれている。
ホースシュー
ホースシュー(horseshoe)とは馬の蹄鉄のことで、ヨーロッパでは悪魔を避けるという言い伝えがあることから、リボンなどで飾ったU字型のアクセサリーや小物を身につけたり、ドレスの裏に蹄鉄模様を刺繍したりすることがあります。
ガーターベルト
靴下留めのことで、欧米では花嫁の靴下留めを花婿が自ら外し、それを男性の友人に向けて投げるというならわしがあります。これを受け取った者は、次の花婿になるといういわれがあります。
花婿の洋装と洋装小物とは
花婿の洋装では、正礼装、あるいは準礼装を着用します。ドレスコードの区切りとなる午後6時頃を基準に、日中であればモーニングコート、夜であればテールコートかタキシードを着用するのが基本です。ただし、最近では昼でもタキシードを着用するケースが増えているほか、フロックコート、ディレクターズスーツなどを着用する場合もあります。ブライダル・コーディネーターは、時間帯と花嫁のドレスとの格を考慮してアドバイスすることが求められます。
花婿の正礼装・準礼装
モーニングコート
昼間の最上級の正礼装で、膝丈まであるジャケットと、コールパンツと呼ばれるストライプのズボンを組み合せます。ベストは必ず着用し、ウイングカラーのシャツに、アスコット結び下げのタイを組み合せます。
テールコート
夜の最上級の正礼装で、燕尾服(スワローテールコート)、ホワイトタイとも呼ばれています。後ろ身頃が燕(ツバメ)の尾のように長いジャケットと、サイドに2本の側章があるズボンをあわせるのが基本です。ボウタイ(蝶ネクタイ)は必ず着用し、前折りのウイングカラーのシャツにベストを組み合せます。ボウタイ、シャツ、ベストはいずれも白、靴はエナメル素材のものがふさわしいとされます。
フロックコート
昼間の正礼装で、膝丈まであるダブルのジャケットに、ストライプのコールパンツを組み合せ、ベストを着用します。ジャケットはウエストに切り替えがあるものが本来の形です。シャツはウイングカラー、シルバーグレーまたは白黒ストライプの結び下げ、またはアスコットタイをつけます。現在ではシングルフロックコートも多く、シルバーグレーやラメ入りなどファッション性の高い礼服として人気があります。
ディレクターズスーツ
昼間の準礼装で、モーニングコートよりもジャケット丈が短く、黒とグレーまたは白のストライプのズボンを組み合せます。ベストはジャケットの共布か、グレー。シャツはウイングカラーとレギュラーカラーのどちらでも問題ありませんが、タイは結び下げるのが基本形です。
タキシード
夜の準礼装で、ブラックタイとも呼ばれます。ジャケットの襟部分は黒い拝絹地で、サイドに1本の側章があるズボンを組み合せ、カマーバンドをします。シャツはウイングカラーとレギュラーカラーのどちらでもよいです。靴はオペラパンプスを履くのが正式とされます。
メンズフォーマルの種類
洋装の場合の下着・小物類
花婿は、靴下やズボン下などの下着類、ポケットチーフ、サスペンダーなどのアイテムを自身で用意する必要があります。靴はレンタルを利用することもできます。
まとめ
今回の『ウェディングドレス(洋装)の基礎知識と選び方のルール』では、洋装のドレスコードやドレスのデザイン、洋装小物、アクセサリーの基本アイテムの説明と、花婿の洋装と洋装小物について書きました。
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